20世紀号に乗って・12
可愛いおばあちゃま。京三沙さんのレティシア・プリムローズは本当に可愛らしくお茶目で素敵な老婦人でした。
今で言うところの認知症ではありますが、認知症の可愛いおばあちゃまは存在します。ええ、デイサービスと老健で働いていた私が断言致します。
まあね、シカゴからニューヨークとか徘徊もスケールが大き過ぎて、追う親族も大変なんてもんじゃないですけど!
扱いが大変な認知症患者さんは多いですが、レティシアさんのような抱きしめたい可愛い方もいらっしゃるのです。苦労なんて吹っ飛ぶくらい可愛いんですよ本当。
仕事好きだったなあ…怪我と病気が重ならなければなあ……(遠い目)。病気は仕方ないけど、利き足が踏ん張れなくなったのは大きかったです。もう介護の仕事なんて無理。利用者さんに怪我させるわけにはいきませんから。
京三沙さん。私が宝塚を観劇するようになった頃はまだ研6でした。同期に花組娘役トップ北原千琴さんや専科の汝鳥伶さん、演出家・振り付け師の謝珠栄(隼あみり)さん。昔からお芝居が安定していらして、脇の女役さんとして期待されていた方と記憶しています。
「新源氏物語」初演の時に、代役公演があり藤壺を演じておられたのが強く印象に残っています。本公演では王命婦でした。再演では弘徽殿の女御でしたっけね。
もちろん今はお年を召しておられますが、若い頃は充分に美しい方でしたよ。今でも美しくていらっしゃるとは思いますけどね。
今回は従来の宝塚とは違い、レティシアさんのナンバーがあります。意外(?)にも歌える京さん。魅力たっぷりに魅せてくださいました。
普段の宝塚でもこんな場面が有ってもいいのにね。とても素敵でしたよ。専科になっても大ナンバーを任せてもらえるとなったら、専科行きを拒む人も減るのでは?
まあそうなったらなったで、「専科に場面任せるくらいなら若手に!」って声が上がるのは必至ですけど。
正直申し上げて「若けりゃいい」という風潮にはウンザリしてます。アマチュアイズムが宝塚とは言えど、素人に毛が生えたレベルの舞台にお金を払いたくはないのです。
トップだって若ければいいなんてナンセンス。男役芸と技術、両方身に付けるにはやっぱり10年以上かかります。余程の天才でもないことにはね。そんな天才にはお目にかかったことがありませんが。
若手の下手くそな歌より、京さんのナンバーに私はお金を払いたい。
京さんも定年を過ぎているはず。今いる専科さんが皆んな退団してしまわれたら…舞台はずいぶんと薄っぺらい物になるでしょうね。
スター以上に専科生の充実の方が先決です。さて劇団はどうなさるおつもりでしょうね?
不二子