窓の外から猫の声🐈🐈🐈

2.5次元とか特撮とか。漫画や小説。平野良と望海風斗。

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私が観劇した時、彩風さんの声の調子が悪くてとても心配でした。掠れるしひっくり返るし、今はどうなのでしょう? 大丈夫かな?

ナポレオンは声を張り上げる台詞が多いせいでしょうか。きっとご本人もつらいと思います。

次の公演からは雪組トップです、声嗄らす余地もない立場になります。今のうちに慣れておいた方が良いですね。

あ、望海さんは手本にならないと思います。あの方一種の化け物ですから。あれは…うん、ちょっと異常。普通の人ではない。


声の調子は残念でしたが、彩風さんのナポレオン私は好きです。だってカッコいいじゃないですか。背はスラリと高くお顔小さく豪華な衣裳にも負けていない。望海さんとは別の魅力がある。

ちょっと「ひかりふる路」のダントン味もあるけど、あの頃より包容力が増したなぁと思います。

台詞の声が少しモゴつくのが欠点と言えば欠点かとも感じますが、そこを乗り越えて立派なトップさんになっていただきたいなぁと心から願います。


実を言うと彩風さんの第一印象は最悪でした。「ルパン三世」と「ファンシーガイ」、まだ雪組生の名前と顔が全く一致しない頃。ショーの方に関しては後に濡れ衣だったことが判明するのですがーーよくよく見れば彩風さんは上手かったーールパンにおける次元大介役は今観てもやっぱりひどい。

2.5次元舞台もそこそこ見慣れている目で観て、全く次元ではなかったと思います。スタイルは抜群なのにものすごく勿体ない気がしました。

スカイステージの番組を見てもなんだか受け答えもボンヤリしていて、「この子大丈夫かな?」と心配になったものです。

ところが2番手になった途端に今までが嘘のようにシッカリしだした。

「もしかしてこの子は立場によって大きく変化する子なのでは?」

だからトップになったらまた大きく変わるかもしれません。私はそれがとても楽しみです。

退団するベートーヴェン望海さん・ゲーテ彩凪さんとの2人きりの芝居がナポレオンにはあります。彩風さんにはとても大切な時間なのではないでしょうか。

辞めていくお2人からいろんなものを受け取っていることと思います。お淋しいでしょうが、それらも糧にして立派なトップさんになってください。


ゲーテとの会話、ベートーヴェンとの会話を要約すると「スマホが有ればEUが出来るよね」って話なのがちょっと面白かったです。

ゲーテ・ベートーヴェンとの会話の場面、「眠い」との声もありますが私は好きです。割とドッカンドッカンうるさいこの作品の中で、静かな一対一の会話劇、しみじみと胸にきます。感傷的な気持ちになるのはもちろん退団者との場面だからでしょうけれど、それはきっと彩風さんご自身が一番感じておられることでしょう。

まだ何か足りないものが有るように感じられはするけれど、それは伸び代でもあると思います。きっと大きく飛躍すると期待して、これからの彩風さんを見守りたいと思います。


ナポレオンのお衣裳、本当に似合っていました。なかなかあんな風には着こなせない。いやぁスタイルが良いって素晴らしい。

この作品、もちろん全員に言えることではありますが、彩風さんのナポレオンがなければ成り立たない。ナポレオンがカッコよくカリスマ性があればこそベートーヴェンの憧れに説得力が増す。見た目で憧れているわけではないけど、視覚的に憧れの対象であることをちゃんと見せてくれるから観客は納得できるのです。

後はやっぱり台詞かなぁ? モゴモゴしちゃうの直るかしら? たぶん歯の問題ですよね。何とかならないのかな。歌だって上手いのにちょっと残念になってしまう。専門的なことは皆目わからないけれど、改善されれば良いなぁと願って止みません。

もっとも今の彩風さんも私は好きですから、欠点が欠点のままだったとしてもそれはそれで…なのですけどね。そんな完璧な人なんていないじゃないですか。望海さんだってご自分ではどうしようもない欠点をお持ちですもの。


彩風さんのファンかというとそれは違うけれど、これからも雪組を観ていこうと決めた理由の一つとして彩風さんの存在は確かにあります。彼女のトップとしての成長を楽しみにしているのは事実です。

相手役さんがまさかの朝月さんで、私は狂喜乱舞しました。絶対無理なんだろうけど朝月さんが良いなぁと殆ど諦めていたのに大逆転。いや〜世の中何が起こるか分からない。

2番手の彩風さんとはこれで最後。次からはトップの彩風さん。

がんばれー!


兵士の女S・不二子

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最後の役名が「謎の女」ってどうなんだ? と最初は思いました。同じ事を考えた方は多いのではないでしょうか。

結論から言います。この役で良かった。

どんな名前もピンと来ない。そして何よりベートーヴェンが「お前の名前がわかったよ」と言った瞬間、真の役名が浮かび上がる。

『ルサンク』を読んだ時、役名がそこで変わるのかに痺れました。

ああ、これで良かったのだと。


真彩希帆さんが望海さんの相手役で本当に幸せでした。

歌はもちろんのこと、上手く言葉に出来ないのがもどかしいけれど、全てにおいて真彩さんがベストだったと私は思っています。他の誰でも私は満足できなかったと。

一見押し出しが強くて前に出るタイプに見えて、その実自己評価が低く必死に努力してきた真彩さん。9学年上の実力者である望海さんに見合う相手役であろうともがき苦しんできた真彩さん。これが愛しいと言わずして何と言おうか。

ちゃんと才能もあって、努力も実を結んでいると私には見えるけれど、真彩さんご本人はまだまだ上を追い求めていたのだなあと感心します。

望海さんも真彩さんのことを認めていて、普通ならその立場に驕っても不思議ではないのに、彼女は甘えない。

うん…もう少し甘えても良かったかもしれないね。真彩さんは素晴らしい娘役さんですよ。

こんな世界の片隅のブログで呟いても真彩さんに届きはしないけれど、心の底から叫びたい。

真彩さんは最高の相手役さんですよ!

あなたが望海さんの相手役で、本当に幸せ!


望海さんの相手役がまだ誰か分からなかった頃、私は「誰でもいい」なんて思っていました。その頃の宝塚全体のことを把握していなかったし、雪組以外の娘役さんのことを知らなかったので。咲妃みゆさんもまだ退団発表していなかったから、彼女が残るならそれでもいいとも。

望海さんに合う娘役さんが分からなかった。

それは当時の雪組生徒さんも同じだったようで、誰になるんだろうと生徒間でも話題だったとか。

割と最近になってそんな生徒さんたちのお話を友人を介して伺いました。

そして真彩さんの組み替えが発表され「あ、相手役が来た」と皆さん思ったのだそうです。

鈍い私もなんとなく「あ〜この人が相手役さんなのかな?」と察しました。

「幕末太陽伝」で2階席から「あら〜綺麗な声」と思い、ショーのサプールの場面で「いいね、いいね、この子良いね」と嬉しくなりました。

ブリネクのイベントで『Home』を歌う真彩さんは初々しく震えていた。まだ先の未来のことなど知らない、歌の上手い下級生でしかなかった。

何故彼女が相手役に決定したのかは知りません。きっと知る機会もないでしょう。誰が決めたのか分からないけれど、真彩さんを望海さんの相手役に選んでくれてありがとう。


ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンには恋のエピソードが幾つかあります。その誰かをヒロインにすることも出来ただろうし、また架空の恋人を創作することも出来たはず。

そこを敢えての「謎の女」。批判が来ることも承知の上だったと思います。

どんな人間の女よりもルイに寄り添い、近しく見守ってきた『彼女』。

「私はあなたの想像の産物」と彼女は言う。だから彼女はルイそのものでもある。ルイでもあり、人類そのものでもある彼女を「愛する」のは世界を抱き締めるのと同義。

「エリザベート」のトートに似た存在とよく言われるけれど、私はその「エリザベート」に疑問を持ち続けていました。自由を求めるシシィが何故トートの手を取るのか? トートの手からさえ逃れて一人自由を望むべきではないのかと。東宝エリザはそうなのかな? 宝塚だとトートと愛し合うようになるけど、けっこう唐突ですよね。無理くりって感じ。それがずっと嫌だった。

でもルイが「謎の女」を愛するのは「分かる」。そこに辿り着く経緯がよく分かる。

「人類の不幸」を愛するのは難しいかもしれない。それを愛するのは、人生そのものを愛することです。愛することは幸せ。もはやそれは「不幸」などではない。不幸すら抱き締めるルイの人生が不幸であるはずがない。

そして「不幸」を称する女は「運命の恋人」に変わる。どんなに戸惑ったことだろう。彼女がいつ生まれ、どんな日々を過ごしていたのかは分からない。しかしまさか自分がこうも変化するとは思ってもいなかったのではないでしょうか。

あの後ルイが天に召されるとしても、きっと恋人と一緒でしょう。智天使様も2人を離すことはないと思う。

地上にはまた新たな「謎の女」が生まれているのかもしれませんが。


真彩さんの持つ陽の気を抑えた暗く静かな演技。忍び寄る霧のような歌声。ルイとの同居で見せるコケティッシュな一面。

ナポレオンの残した銃でルイを撃とうとするのはいつしか芽生えた愛の裏返し。死は救いだと。

ルイと女は結果、愛し愛され救い救われる。

正直なんだかどさくさ紛れにハッピーな雰囲気にもっていかれた感がないわけではないけれど、それもまあ良いかという気になる。

我ながら単純。


何が辛いって、もう望海さんと真彩さんのコンビが観られないこと。お二人が今後共演することがあったとしても女同士。それはそれで楽しみだけど、もうコンビではない。

しっかりと目に焼き付けてきたつもりだけど、辛いものは辛い。叶うならもっと観ていたかった。宝塚のトップコンビって本当に儚い。

何度でも言う。

真彩希帆さんが望海風斗さんの相手役で良かった。本当に本当に、最高のコンビでした。

ありがとう真彩さん。心から、ありがとうございます。


真彩さんになら撃たれたい不二子

ギフト

「才能」と書いて「ギフト」と読む。誰が言い出したのか、ラノベなんかにもよく有る表現なんですけどね。意味合いとしては「才能とは神様からの贈り物」という感じです。それは誰でも貰えるわけではなくて、選ばれた人だけが与えられる。だからギフトを貰った人は天才なのだと。


漫画が原作だと知らずにDVDで観たミュージカル「さよならソルシエ」、そんなギフトと或る兄弟の物語。

フィンセント・ヴァン・ゴッホとその弟テオドロス・ヴァン・ゴッホ。

私はたまたまゴッホについて書かれた書物を読んでいたので、ゴッホ兄弟のことは知っていたのですが、まあ世間的には画家の方の兄しか知られていませんよね。

原作の漫画の方は買ったのにまだ読んでいません。そのうちそのうち。

ミュージカル版はどうやらW主演ですが、やはり主となるのは弟テオドロス。何しろ兄の絵を愛するあまり、兄の死後「狂気に塗れた炎の画家」という虚像を作り上げ大衆の興味を惹き、遂にはフィンセントを有名天才画家に仕立て上げる。

ゴッホは紛れもなく天才ではありますが、時代が彼を受け入れなかった。その殻を破る為に壮大な嘘を吐く弟の激しく深い愛。

テオは本当は画家になりたかった。けれど彼には絵の才能はなかった。その代わりに画商としての才を授かっている。

フィンは何にも縛られずふわふわと、怒りの感情を持たず世界の全てが美しいと筆を取る。授かったギフトのことさえ気にせず、ただただ絵を描く。

テオの兄への愛憎は凡人の身として分かるように思います。テオが授かったギフトも素晴らしいんだけど、望んだものではないんだものね。

翻ってフィンのテオへの兄としての愛も分かる。

私、いい歳して気持ち悪いくらいシスコンなんですよ。妹の一人は結婚もしてるのにね。義弟とも仲良いんだけど万が一ヤツが不貞を犯したらボコボコに殴りに行くと思います。

無条件で可愛いんですよ妹たちが。たぶん姉妹に生まれてなければ友達になってないだろう程に性格が違うのだけれど、今はもう姉妹であり親友でもある存在かな。

シスコン姉として超ブラコンのテオの気持ちも、普通の姉として普通に兄であるフィンの気持ちも、分かる気がする。いかんせん私は何のギフトも与えられていない凡人なので感覚は違うのかもしれないですが。


テオ役を良知真次さん、フィン役に平野良さん。実際には良知さんの方が年上です。良知さんって美弥るりかさん主演の「瑠璃色の刻」のフィナーレの振り付けをしてらしたんですってね。

どちらも上手い役者さんだし、他のキャストも実力派揃いで見応えがありました。

実は何回観ても泣いてしまう作品です。いろんな感情が渦巻いて自然に涙が溢れてきます。

「ソルシエ」とは「魔法使い」。まるで魔法のように絵画を売る手腕を持つテオドロス。画壇に背き新しい才能を世に出す為にテオはあらゆる手段を講じる。そんな天才画商テオの唯一無二の天才画家が兄。

一見冷徹なテオの愛は激しくて鋭い。史実では妻子のいるテオ、息子には兄と同じフィンセントの名を付けています。兄が客死した一年後にテオドロスもこの世を去っています。いやぁ…いろんな意味で奥さんご苦労様でした。こんな超ブラコンの妻ってしんどかっただろうなぁ。

シャープな見た目に物腰のテオドロス良知さん。綿雲のようにふわふわと可愛いフィンセントの平野さんーー「憂国のモリアーティ」の次にこれを観たのでシャーロックと同じ人と思えず混乱しました。

役者さんってすごいですよねぇ。あんなにガラリとイメージが変わっちゃうんだ。これ逆でもビックリしたな。

良知真次さんはねぇ、私のイメージだけの話ですが若干「器用貧乏」な面があるように思えます。歌えて踊れて芝居も出来て、振り付け師も出来る。MCの仕事も多い。結婚してるから家族を養う為に仕事を選んでられないのかもしれないけど(勝手な憶測です)、もっといい仕事できるはずなんだよなぁ…。テオドロス役観ていると余計にそう感じます。

天才肌の平野さん。30歳前までは台本は1、2度読めば全部覚えたそうです。30を超えて初めて家で台本を開いたとか。でもまだまだ本物の「ギフト」を授かっているかは分かりませんね。しかし画家と違って役者は生きているうちに評価されないとね。


別に無理やり話を繋げるわけではありませんかが、望海さんもまた間違いなく「ギフト」を与えられし者。少なくとも「宝塚の男役としての歌」のギフトは授かっている。

このギフトがどこまで本物か、私は見定めたいと思っています。


最後にこの「さよならソルシエ」で一番好きな台詞。

『僕に与えられたギフトって、本当は君(テオドロス)のことじゃないかなぁ』


胸を張ってシスコンを自称する不二子


ミュージカル「さよならソルシエ」 [DVD] 

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