窓の外から猫の声🐈🐈🐈

2.5次元とか特撮とか。漫画や小説。平野良と望海風斗。

覚悟で決めろ

義務でなく、権利でなく、資格でもなく。実力以上に宝塚のトップスターに最も必要なのは「覚悟」ではないかと最近思います。

誰よりも賞賛を浴びる代わりに誰よりも非難も受ける。どちらか一つというわけにはいかない。この二つはセットです。

「御曹司」と呼ばれる生徒に人気が出難いのは、与えられることに慣れ過ぎて自ら矢面に立つ覚悟がない、或いは足りないからではないでしょうか?

もちろん全ては想像に過ぎない。しかし覚悟の有無は観ている側には案外伝わるものです。


Amazon Prime で「侍戦隊シンケンジャー」が観られるのです。DVD持っているんですけどね、手軽だからスマホやタブレットで観たりします。

久しぶりに第一幕(話)を観ていたのです。シンケンジャーは現代の「侍」。代々受け継がれてきた主従関係の家柄の人物たちです。

レッドが殿、他は家臣。先代たちが命がけで敵の大将・血祭りドウコク(外道衆・三途の川に住む)を封印し、戦いも一度は収束したと思われていた。残党の雑魚は現当主である志葉丈瑠が一人で始末していたが、封印は完全ではなく遂にドウコクが復活してしまう。丈瑠の側近日下部は現在のシンケンジャーたる家臣を呼び寄せようと提案。丈瑠は危険なことに巻き込みたくないと渋るが…。

もちろん「戦隊」なので、全員集められます。ここまでレッドと他がハッキリ主従関係の戦隊は他にはありません。常にリーダー、常に矢面に立つ、命をかけて人々を守る…丈瑠はずっと孤独なのです。殿と呼ばれ当主である恩恵も享受しているけれど、その分いやそれ以上に重責を担う覚悟をしています。

家臣たちが集まってきた時にシンケンジャーになるに当たって、彼らに言います。


「家臣とか忠義とか、そんなことで決めるなよ。『覚悟』で決めろ」


家臣たちは「元より承知」だったり「まあ、そう育てられてきたし」「頑張ります!」だったり。一応は覚悟してきてはいたようですが、第二幕でイエローや他の侍が敵の攻撃を受けて倒れた時、丈瑠は一見非情な言葉を投げつけます。


「お前たち、立てるよな? 」

「言ったろう。外道衆を倒すか、負けて死ぬかだって」

「この程度で潰れるヤツは要らない」

「要らないって言ったんだ。弱いヤツは邪魔だ」

「一生懸命だけじゃ人は救えない」


反発する家臣の中で一番傷を負ったイエローのことはちゃん(京都弁が可愛い)が呟きます。


「殿様の言ってること、正しいわ。誰も守れへんかったら、意味ないもん」


その言葉と丈瑠の戦いを見て、家臣たちにも更なる覚悟が生まれます。


「その場凌ぎの優しさなど侍には無用」

「成すべきことは外道衆を倒すこと」

「そして人を守ること」


シンケンジャーは、一貫して「覚悟」の物語であると私は思います。全49話全てが「覚悟」。特に丈瑠の覚悟の凄まじさは観ていて涙を堪え切れない程です。

具体的な話はネタバレになるので語りません。興味を持ってくださった方はとにかく観てくださいとしか。面白さカッコよさは保証します。変身後のマスクは顔に文字という一見変てこりんですが大丈夫。一幕の冒頭で「カッコいい…」に変わりますから。


んで、まあなんで「シンケンジャー」の話を延々したかと言うと。

宝塚のトップに立つ「覚悟」とは? という話。大体の人は2番手の間にその覚悟を身につけていきます。それでも実際にトップになった時「自分の覚悟は甘かった」と感じるものです。

約70〜80人の組の頂点に立つこと、中半かな覚悟では成し得ない責務がそこには有ります。

学年が上がってからトップになる人は緩やかに覚悟を育む時間があります。若い学年でトップになった人でも…大地真央さん・杜けあきさん・天海祐希さんなど…ちゃんと2番手の期間が有った人は上手く機能している。逆に音月桂さんのように2番手期間が殆どなかった人はトップになってから直面するので、辛さもひとしおでしょう。安寿ミラさんも2番手は一作ですが、真矢みきさんと共に2番手を凌ぐ人気だったせいか危なげはなかったです。

「ベルばら」以降の宝塚で最も若い学年でトップになった天海祐希さんは、意外にもちゃんと3番手2番手時代が有りました。男役・天海祐希の好き嫌いは別として、彼女はキチンと段階を踏んでトップになったスターです。

翻って現月組トップの珠城さんは、その段取りをしていない。もちろん彼女のせいではない。誰かは知らないけれど劇団の人の手際の悪さだと思います。

はたから見ているだけの人間が言っていいことではないかもしれませんが、私には珠城さんがまだ「覚悟」が決められていないように感ぜられます。酷なようですが、トップになったからには無理矢理にでも覚悟を決める必要があると思います。

天海祐希さんは愛想を振りまく人ではなかったけれど、人前で愚痴をこぼすこともなかったと記憶しています。早期就任で辛いこともあったでしょうし、技量的に足りないところもたくさんありました。しかし彼女は早期就任を言い訳にすることはなかった。

早期就任も美弥るりかさんの退団も、珠城さんが望んだことではないでしょう。それでも私がもし彼女に言葉を送るなら、やっぱりこの一言です。

「覚悟で決めろ」

CV・松坂桃李でお願いします。

シンケングレー・不二子

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