ファントム その1
雪組公演「ファントム」、観てきました。
なんかもう胸が一杯で何をどう表現したらいいかわからなくなって、しばらく余韻に浸りまくっていました。
宝塚ファンになって数十年(ブランクはあるけど)、トップコンビがこんなに歌える宝塚公演なんて初めて観た気がします。
いつもどっちかは普通か下手よりだったように記憶しています。
しかもこんなに高いレベルでトップの両方が上手いって、まるで奇跡のよう。
いやもう何から書けばいいのやら。
整理された文章が書ける気がしないので、思いつくままに書き散らそうと思います。
あ、バンバンネタバレしますので、お気をつけて。
「ファントム」を観るのは初めてですが、さすがに有名原作なので大まかにはストーリーを知っています。もう一つの「オペラ座の怪人」より怪人よりの作り方だとは聞いていました。でもまあ知識はそれくらい。
「オペラ座の怪人」はクリスティーヌとラウール、そして怪人の物語で、「ファントム」はエリックとクリスティーヌ、そしてキャリエールの物語、という印象を受けました。だいたい合ってます?
どっちも好きだと思いました。切り口が違うので比較してどうこう言う意味はないかと。どちらも素晴らしいで良いと思いました。
海外ミュージカルだと初めにオーバーチュアがあるじゃないですか。私あれがあまり好きじゃなくて、いつも「さっさと始めーや」と思ってしまうんですよね。せっかちというかイラチというか。
でも今回はまるで映画のような映像が流れるので退屈しませんでした。パリの夜の街から次第にオペラ座の地下へと誘われるようでとてもワクワクして、そのままスーッと物語に引きずりこまれた感じ。
映像には賛否あるでしょうが、私は大好きです。
地上を生きる私たち観客をファントムの世界に連れて行ってくれたような気がします。
そして幕が上がればそこにファントムが。
エリックが歌い始めた途端に私は何故だか涙が滲んできました。まだ最初の歌なのに。
なんだかものすごくエリックの孤独が伝わってきて、胸に突き刺さったんです。望海さんの歌に凄まじい孤独が溢れていて、それがダイレクトに伝わってくる。なんか歌が上手いとかいうのは後回しでいい、とにかくエリックの心の痛みを共にしたいという感じ。
最初にガッと心を掴まれて、後はもうひたすらファントムの世界に浸りました。
一幕から涙が出てきてなんでこんなに泣けるんだろうと自分でも不思議。
二幕はもうだだ泣きで化粧ハゲまくり。パレードの最後に望海さんが冒頭の歌を歌い始めたらまた涙。泣き過ぎだよ私。
終わってから近くの席の人が「歌が上手い人が演ったらええ作品なんやな」と話してらしたのが印象的でした。
不二子