柴田先生と山本周五郎
いのちある限り(『野分』『釣忍』より)
小さな花がひらいた(『ちいさこべ』より)
落葉のしらべ(『落葉の隣り』より)
白い朝(『さぶ』より)
沈丁花の細道(『半之助祝言』『町奉行日記』より)
川霧の橋(『柳橋物語』『ひとでなし』より)
私が観たことがあるのは「小さな花がひらいた」「沈丁花の細道」「川霧の橋」だけです。「いのちある限り」は鳳蘭さんと遥くららさんが歌ってらっしゃるのを聞いたことがあるのと、公演楽譜を手に入れて弾いていた覚えがあります。
「小さな〜」以外だと「白い朝」がバウ公演で再演されたと聞きました。これは私が宝塚から離れていた頃なので全く存じ上げません。
一番好きなのは「小さな花がひらいた」ですが、「沈丁花の細道」も大好きな作品でした。泣ける話ではなく、どちらかと言えば痛快時代劇って感じ。大地真央さんの軽妙かつ的確な演技が光っていたと思います。
再演して欲しいなあと思っていましたが、演れる人が思い当たらないです。もちろん望海さん含め。大地さんって演技派とは真逆のイメージを持たれていますが、コメディからシリアスまでとても振り幅が大きい優れた男役さんだと私は考えています。
「沈丁花の細道」はコメディではないけれど、主人公半之助の人を喰った言動は笑えるし、逆にピシッと奉行らしく振舞う時はめちゃくちゃカッコいい。緩急自在な演技が出来ないと再演は無理と思います。
「川霧の橋」も再演希望の多い作品です。私はあんまり…ですけど。最後以外は気分の良い作品ではないですしね。最後は感動しますけど。
柴田先生が御目を悪くされて随分と経ちます。私が最後にお会いした時にはもう殆ど見えてらっしゃいませんでした。ずっと付き添いの方がらいらっしゃいましたね。今はどうなのでしょう? 少しは見えてらっしゃるのかしら。それとも。
もう新作を書かれることはないのでしょうね。柴田先生の周五郎物が大好きなので、もっと続けていただきたかった。誰か引き継いでくださらないかしら?
山本周五郎という作家を、柴田先生に教えていただきましたよね。あれからたくさん周五郎作品を読みました。宝塚で上演して欲しい物まだまだありますよ。柴田先生に書いていただきたかったな…。柴田先生の堅実な作品創りが周五郎作品とマッチするのだと思うのです。
「小さな花がひらいた」はきっとこれからも何度となく再演されると思います。柴田先生は大切な宝物を宝塚に残されたと思っております。
もちろん周五郎物以外にも素敵な作品をたくさん書かれています。全ツで柴田作品が再演されることが多いのは、作品の「骨組み」がしっかりしているからだと思います。今の宝塚ファンには「古い」と揶揄されることもありますが、大作でもないのに何度も再演されるのにはそれなりの理由があるのです。
周五郎物ではありませんが「たけくらべ」も本当に良い作品でした。私は花組で再演された時の森奈みはるさんの美登利しか観てはいないけれど、かなり泣いた覚えがあります。また再演しないかなあ。
不二子・こうして見ると望海さんは朝香さんに似てるなあ…