窓の外から猫の声🐈🐈🐈

2.5次元とか特撮とか。漫画や小説。平野良と望海風斗。

たまゆらの記

柴田先生の万葉シリーズの3作目です。中大兄・大海人・額田や天武・鵜野讃良・大津・石川といった有名人でなく、安宿王という無名の人ーー父親の長屋王は有名ですがーーを主人公にしており、ストーリーも殆どオリジナル。そういう意味では地味な作品ですが私は好きです。

光明皇后の名前が安宿媛と安宿王と同じところから発想されたストーリー。もしかしたらこんな物語が本当に有ったかも…という自由な発想が面白いと思いました。

「あかねさす」はよく再演されるのに、以降の作品は再演されませんねえ。再演し難い作品だとは思いますけど。「あしびきの」はウンと上級生のトップと若いトップが主役な作品なので条件が厳し過ぎる。「たまゆら」は…うーん、再演されてもおかしくはないのですが、2番手の首皇子が半端なく難しいからでしょうか?

長屋王の息子・安宿王。

藤原不比等の娘・安宿媛、後の光明皇后。

文武天皇の息子・首皇子、後の聖武天皇。

安宿媛を巡る三角関係の物語ですが、安宿王と親友といっていい首皇子が2人の安宿を引き裂く形で媛を妃にする過程が並みの演技力では観客の共感を得難いかと。

安宿媛を臣下初の皇后にと計る藤原氏からの手から安宿王を守る為ーーしかし首皇子自身も安宿媛を愛している。この匙加減があまりにも難しい。

演じたのは稀代の芝居巧者・杜けあきさん。安宿媛を思って歌う歌も胸が痛くなるような素晴らしい歌唱でした。

首皇子を演じられる2番手が現れたら、再演して欲しいなあと思っております。とりあえず今はいないかなあ。首皇子を憎まれ役にするなら簡単ですが、それでは作品が薄っぺらくなります。

この作品、平みちさんと神奈美帆さんのサヨナラ公演なのですね。平さんのことはあまり好きではなかったですが、神奈さんは大好きで退団発表に泣いた覚えがあります。

可愛くて何でも出来る素晴らしい娘役さんでした。神奈さんを初めて見たのは音楽学校の時。その時から印象に残る存在感のある方でした。ハッキリものを言う方で、ファンの方達には「デビルやすこ」と呼ばれていたと伺っています。

私は安宿媛の母・橘三千代役の仁科有理さんの長年のファンだったのですが、三千代は仁科さんの演じた役の中でも特に好きな役です。

不比等は途中で死亡するので息子の武智麻呂と二役を演じます。武智麻呂の母は蘇我娼子、三千代の息子ではありません。

そのせいかは分かりませんが、藤原の4人の息子達より三千代の方が存在感が大きいです。仁科さんの強烈な個性のせいもあるのかな? 三千代を演れる別格娘役も必要ですね。

そうそう、柴田作品らしく主題歌も美しいのです。主題歌だけでなくどの歌も美しい。

名作かと問われたらちょっと首を傾げます。でも佳作ではあると思います。

再演しないかな〜。


神奈美帆さん本当に素晴らしい娘役さんでした・不二子

×

非ログインユーザーとして返信する