柴田侑宏先生の山本周五郎物です。「半之助祝言」と「町奉行日記」をミックスしてあります。原作はどちらも面白いのでお勧めします。

名作かと言われれば「それはないかなあ〜」となりますけど、痛快娯楽時代劇って感じで面白いと私は思います。好きな作品です。

半之助（原作では望月小平太）が一度も奉行所に出勤しないまま事件を解決してしまう辺りの面白さ、飄々と周りを煙に巻きいつの間にやら妻も娶る要領の良さ。軽いと感じる人もいるでしょうけれど、飄々と且つ颯爽とした半之助はカッコいい男です。

大地真央さんがめちゃめちゃカッコいいんですよ！ 少しハスキーなお声とスッキリした容姿、間の取り方は天才。シリアスもバッチリ。

黒木瞳さんとのコンビも大好きでした。黒木さん、同期である知人はあまりよく思ってなかったようですが、舞台では可憐な娘役さんでしたし私は気にしませんでした。私自身が黒木さんのオフを知っているわけじゃないし、舞台が好きだったから他のことはどうでもよかったです。

この頃の月組は２番手に剣幸さん、別格娘役筆頭に条はるきさんがいらっしゃいました。条さんの下には仁科有理さん・春風ひとみさんもいらして、別格娘役が充実しまくりです。劇団ももったいないと考えたか、仁科さんは雪組に組替えになりました。

この作品での剣さんは大地さんの親友ーーからの実は悪役。２番手は一度は悪役やって欲しいですよね。

大地さんは実力は大したことない的なことを言われがちですが、確かに歌やダンスは特筆するものはないけれどお芝居は私は好きです。

大地さんのコメディ・センスはずば抜けています。そしてそれはアドリブの巧さだけではなく、何よりも間の取り方の巧さ。これはシリアスな芝居にも活かされていました。

「沈丁花の細道」は娯楽作品ですがコメディではありません。締めるところはきちんと締め、緩めるところは肩の力を抜いて魅せる。大地さんならではの緩急自在な手腕を発揮した楽しい舞台になっていました。

大作ではなく、泣ける作品でもない。大笑いというよりクスリと笑える。一見誰にでも出来そうで、実はそう簡単ではない作品であり役であると思います。

半之助やれる方いらっしゃるかしら？ ちょっと今は思い付きません。まあ再演することはないでしょうけれど。

あ、でも、まさかの「はばたけ黄金の翼よ」の再演もありますし……絶対ないとは言えないかもしれませんね。

いや、しかし、ないよな…まさか。

沈丁花の香り大好きな不二子