分析・研究、そして放出
「エンターザミュージック」を拝見して、前々から考えていたことの整理がつきました。
望海風斗さんのお歌。
望海さんは楽譜をもらってから稽古期間中、まず楽譜を分析、そして研究されているのですね。それも徹底的に。
ブレスする際の「気持ち」まで考えてらしたとは驚きでした。
「ファントム」のCD録音の際に真彩さんに指導してらしたお姿から推測していたのですが、私が想像していた以上の努力をなさっておられたのですね。
何も考えずに歌ってもおそらく望海さんはとても上手い。でも望海さんはそんな程度ではご自分が納得されないのでしょう。
楽譜を読み解き、分析し、歌詞と音の意味を結び付け、研究に研究を重ねて練習をする。
そして舞台に立ったら感性を放出するのです。そこには計算なんてもはや必要がない。徹底した練習が身体に染み込んでいるでしょうから。
これが上手くないわけがない。単に上手いなんて言葉で片付けることの出来ないレベルの芸術です。
と、ここでふと思ったのはーー普通の人は思った通りには歌えないよね?ということ。上手く歌えたと思っても録音を聴いたらガッカリなんてよくあることです。今ならカラオケで自分の歌を聴けますよね。
うん、やっぱりそもそもの才能がなければ同じことをしようとしても無理かも……。
もちろんやらないよりは絶対に上手くなるとは思います。だから下級生の方々は望海さんから練習法を伝授してもらって欲しいです。
望海さんは才能に奢らず、地道な稽古を繰り返し繰り返し、頭脳と身体を使って歌を歌う。
「よく喉が強いと言われますが、歌は身体で歌うものなので」ともおっしゃっていましたよね。
望海さんの身体そのものが「楽器」なのです。
身体で歌うーーは私も少しは分かります。私も喉が強いと言われますが、そもそも喉で歌ってない。身体全体で歌わないと保ちません。まあ私は音感が悪いので別に上手くはないですか(笑)。
望海さんは歌と違いダンスは決してダンサーレベルではありません。それでも下手という程には踊れないわけではない。身体はむしろよく動いていると思います。ダンサーとしての才能には恵まれていないけれど、望海さんはきっとダンスも研究してらっしゃる。
お芝居もおそらくそうなのでしょうね。
才能任せの雑さがない望海さんの舞台、宝塚での舞台を、あと何回観られるのかしら…。
ああ…急に淋しくなってきました。
出来ないことを出来るに変える。
出来ることをもっと出来るに変える。
改めて望海風斗という舞台人に尊敬の念を抱きます。
もっともっと望海さんの舞台が観たいなあ……。
やっぱり望海さんか一番な不二子